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2012年2月7日火曜日

SFのジェンダー

たまには、ブログを。

暇そうにしているせいでしょうか、(事実暇なの)、SF作家クラブ関係のボランティアを二つ引きうけることになりました。

ひとつは先日も書きました『SFプロローグウェブ』のコラム担当。
もう一件は、『SF評論賞』の選考委員です。
わたしがやるんですよ。。。なんておそろしい。。。

山ほど資料を読んで勉強した上で、評論に臨まなければならないという、なんともおそれ多い賞です。

わたしが推薦された理由のひとつは、選考委員に女性がどうしても必要だったから。
女性枠ってのがありまして、ジェンダーチェックの役割をどうやら期待されている模様。
もうひとつの理由は、じつはこっちのほうが、大きいんですが、自分の後釜をみつけない限りやめられない町内会的恐怖組織であること。

ジェンダーって、マーケティングの範囲内ですよね?

(だれに向かって念を押してるの? >わたし)

政治的に、これは「アウト!」とか、「セーフ」といったりやったりするわけですね?

アウトというのは、差別意識を無意識に露呈してる部分に書き手が気づいてないときですね。
しかし、わたしのジェンダーチェッカーは錆び付いてまして、その先が続きません。
斉藤美奈子氏の著作でウォッシュアップしないと・・・。
かつて、わたしはハゲてる人の前で「ハゲってどーして差別用語なの」といった瞬間、差別用語だと気がついたんですが。
まあそんなふうに、いってる本人は気がついてなかったりするのです。

しかし、意識的におこなっている場合、どうなのか?
技巧として、とても巧妙に使ってる場合があるのですよ。

たとえば、『侍女の物語』。
発表当時、男性評論家が絶賛して、女性評論家はスルーだった作品であります。

読んだ当時は、非常にむかむかしましたが。
その後、欧米のファンタジーの大きな集団として、「女奴隷」の存在があることを知りました。
ファンは圧倒的に女性です。Gor世界、女奴隷の検索ででてきます。アダルト、セクシー&エロチック、つまり成熟した女性性を表にどーんとだすファンタジーなのですよ。奴隷といいながら、女本来の女らしさを解放するファンタジーなわけで、成熟した女性には非常に気持ちがいい、らしい。
なので、男性禁止のファンサイトがかなりありました。
日本のネオテニー礼賛に汚染されたわたしには、いまいちピンときませんでしたが。

日本にほとんど入ってこない理由もそのあたりでしょう。
そのファンサイトを巡るうちに、『侍女の物語』は、この延長上にあるのか、と気づいて、視点がひっくり返りました。

背景にあるものを知ると、同じものがちがってみえてくるんですね。

カズオ・イシグロ氏の『わたしを離さないで』も、読んだ当初は、ホントにいやな気分になりました・・・。
周囲をみても、男が誉めて、女は口をつぐんでましたし。これ日本の女の現状まんまじゃん、とちらっと感じたり。


この作品も、充分理解できたというにはほど遠い段階です。
背景にあるものを知ることで、自分の感想も変わっていくんでしょう。
こんふうに胸を波立たせる力が、名作たる所以。

とにかくジェンダーはマーケティングありきです。
空気を読みつつ、いってみる。