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2011年10月30日日曜日

書き手にとっての密林上陸

今、古賀茂明氏の『日本中枢の崩壊』を読書中です。
その中に、「平成の身分制度」の撤廃という一節がありまして。

しかも、キャリア官僚は退職後も「天下り」「渡り」で七0歳くらいまで生活保障される。これは職業ではなく「身分」だろう。
いまの政策では、こうした努力なしにたまたま得られた身分の人に手厚い保護を与え、守っている。これは一種の「身分制度」である。保護の強さの順でいえば、「官・農・高(高齢者)・小(中小企業経営者)」ともいえるのではないか。


身分!!
たしかに、今は官は身分ですね。「官」と「官以外」に日本が二極化されている印象すらあります。
うちも中小企業だとか、だれもが高齢者になる、といった感慨はさておき、官の既得権の厚い壁は、本当にしたたかで、「うわあ」と思います。古賀氏は孤軍奮闘のすえ閑職に追いやられて、ついに退職なさったわけです・・・。
古賀さんがテレビ出演したとき、「在職中は仕事がなくてヒマだったけど、退職したら忙しくなった」といっておられました。笑った。。。

Amazon Kindleが、この壁を突破できるのか?
版元に提示した契約書の〆切は、10月一杯ということですので、それぞれの版元さんは回答なさったのでしょう。
大原ケイさんのブログ。

『読者のためにも著者のためにもならないムダな抵抗はよせ—Resisting Amazon is a death knell for publishers』

さすがの黒船も、日本の厚い既得権の壁を破るには、4年ぐらいかかるんじゃないの、と思います。
何で4年かというと、iTunesにソニー傘下のSMEのアーティストがぼちぼち楽曲を提供しはじめたのが、そのぐらいでしたから。
しかしサザン、宇多田ヒカルといった国内大物アーティストはいまだにiTunesには楽曲提供してません。

今後は、iTunesにアーティストが流れたのと同じようなパターンになるんじゃないでしょうか。
縛りの少ない作家と、交渉権のあるエージェンシーと契約した大物作家、中小の版元からKindleに、大手も別会社でkindleに参加する、というように。
メモ的に、業界の隅っこの人間としての予想。(あとで読み返すと面白い)

ただ、電子化が進んだ場合、個人的には、本のマーケットそのものが縮小するんじゃないかと思ってます。

書籍の最大の宣伝媒体は、本それ自身ですから。

本は、お菓子と同じ嗜好品だと思ってます。頭へのお菓子。
商品の存在自体が、購買欲をそそるものなんですよね。
古本市、コミケが廃れないように、訴求力は実物が最強で、Amazonの販売にもっとも貢献してるのは、既存の本屋さんじゃないか? てなことを考えます。

Amazonが書店を刈りつくして、リアルの書店が消えたとき、実物の本を手にとる機会が減ったユーザーが電子書籍に流れるでしょうか。

電子同人誌を作ってみて、お客さんをそこに誘導するのは難しい、てなことを先日のブログに書きました。
あれは正確じゃなくて、リンクを貼ればとりあえず踏む人は半分はいます。
ここまでは、いわばウィンドウショッピングです。
その先、クレジットカードを登録する段階で、99.99㌫は画面を閉じます。
(無料本の閲覧者数とDL数、有料本の閲覧者数から察するにこんな割合)
Amazon、楽天が有利なのはこの部分ですね。クレジットカードの登録者数が多い。

そこから、電子書籍を買う、という選択をするのは、今のところ最初から「買う」という強い動機を持ってる人だけです。
今後は変わるかもしれませんが。ただ、紙の本みたいに、みてるうちに欲しくなるってことはあまりないのです。電子書籍。

アンソロジー本が電子書籍でよく売れる(ようにみえる)のは、関係者が多いからです・・・。
実用書が売れるのも娯楽品ではないからです。「今、必要」なものだから買うんですね。
期間限定が多いのは、「今、買う」という強い動機づけを誘うためでしょう。

じゃあ、絶版本がいつでも買えるようになれば、作家と読者には利益になるのか?
読者にはまちがいなく有利です。
作家的には、過去作を何度か電子書籍化してますが、新刊がでた直後に動く程度です。新刊をだしつづけている現役の人には、絶版の電子化は利益があるはずです。
それ以外の人(わたしとかは)はあんまり関係ないかも。
死後50年後、だれかが憶えていてくれれば、青空文庫に入って、読んでもらえるかもしれません。

実は、生きてるうちにコバルトの古い本の幾つかを青空文庫に入れようかな~てなことも考えたのです。それで、青Pと呼ばれる青空文庫のテキスト出稿を使いまして、パブーさんで公開したりしました。しかし、ルビ振りなどの作業が、長編だと相当に時間がかかるとわかり、棚上げ中・・・。

本当の意味での無料のクチコミなんてものはありません。
今後は、音楽業界同様、広告費をかける価値のある一握りの作家をのぞけば、すべてインディーズとなるのでしょう。
つまり対面イベントや、コアなファンがいる狭いカテゴリー対象の閉じたマーケティングに変わっていくのではないかと。


今後は、本の広告のありようも変わってくるのでしょう。
レビュー重視になるという見方もありますが、楽天のクチコミも、あんまりアテにならないことを消費者も学んでますし。最近は、『商品レビューからやらせを探すソフトウェア』なんてのもあります。


書き手にとっての留意点として。
流通の制限が外れた時点で、大量出稿、大量出品のアクセス稼ぎのためのスパム本やパクリ本が増えそうです。
剽窃防止に、紙の本同様に、画像を登録できるアーカイブが必要になるかも。


リアルの書店という現物の見本を手にとれる場所がなくなったあと、次にくるのはタブレットで文字を憶えて、タブレットで読書するようになった世代です。

『読書』という行為自体、ちがう次元にいってるんじゃないかと思います。

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